2018年7月16日月曜日

移住して20年目

私たちが移住するためにニュージーランドに来たのが1999年5月だった。だから正確には19年と2か月。二人の子供たちにシュタイナー教育をという高尚な目的があった。当時は東京に一校あるだけで、それも小学校までしかなかった。

東京に住むつもりは全くなかったので、海外に移住して
シュタイナー学校に通わせるという選択肢しかなかった。移住先は英語圏から選ぶことにした。夫も私も特別な英語教育は受けていなかったが、ほかの言語がゼロだとすれば、英語ならそれよりは何とかなるかもしれないと思い、移住の条件が最も低かったニュージーランドに決めた。

幸い、夫は移住に必要な英語もパスし、オークランドに住み始めて半年で永住権を手に入れることができた。

もともとシュタイナー教育が目的で来たので、まずは子供たちが高校を卒業するまではこちらに住もうと決めていた。その後のことは考える暇もなかったし、その必要もなかった。

早いもので、次男が無事シュタイナー学校の高校を卒業してから、もう5年たっている。移住の当初の目的は果たし終え、ここに住む必然性はなくなったが、私たちはまだオークランドに住んでいる。当たり前のように。

毎日手作りの納豆とみそ汁を食べ、家族では日本語を話し、私の思考はいつだって日本語である。今はネットで日本のニュースはいつでも読めるし、アジア系のスーパーもそこここにあるので、日本にいた時と同じような献立を作ることも可能になった。外国に住むとことが、もう特別なことでななくなっている。

私自身、移住したばかりの時のような、こちらの社会に溶け込もうという気概も失せて、日本人である私のままでいいんだと思うようになった。自分の好きなこと、“絵”を通して社会とのかかわりを維持できればそれで十分だと。

思えば、30年前北大病院の看護婦だった頃、看護師の留学情報というような本を買って読んだことはあった。当時の私にとって海外暮らしは、夢のまた夢。英語も苦手だったし、海外旅行もツアーでインドとパリにそれぞれ一週間程度行ったったことがあるだけ。そんな私が、ここでこんな風に生活しているなんて、不思議というか面白いものだと思う。


10x10cm acrylic on board


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